鑑定科学技術センター見学

久しぶりの更新になってしまいました。みなさんお元気でしたでしょうか?
あっという間に秋が終わり,すっかり空気が冷え込んできましたね。

公園通り法律事務所では,先日,
財団法人材料科学技術振興財団に昨年新設された「鑑定科学技術センター」の見学に行ってきました。
センターのスタッフのみなさんから,鑑定科学技術センターで実施している様々な科学鑑定について,詳しい説明をしていただいただけでなく
施設内のラボなど,実際に見せてもらうことができました。

科学鑑定というと,やはり「DNA型鑑定」のイメージが強いのではないでしょうか。
足利事件の再審無罪判決に,DNA型の再鑑定が大きな役割を果たしたことは,ご存じの方も多いかと思います。
見学会では,この足利事件の再鑑定意見書の作成者である押田茂實先生から,
鑑定科学技術センターで実施されているDNA型鑑定の実情や,
これまで長年にわたり法医学者として鑑定の最前線で数多くの事案に取り組んでこられた立場から,
興味深くまた熱いお話しを伺うことができました。

特に印象的だったのは,足利事件の検察官側証拠として提出されたDNA型鑑定と同じ手法で行われた鑑定が,
実に173件に及ぶという事実です。
これらの鑑定が証拠として有罪が言い渡されている事件には,潜在的に
冤罪の可能性がある。

このように考えると,精密なDNA型鑑定がいかに重要なものかということが圧倒的な説得力をもって迫ってきました。

このように刑事事件との関わりが深い科学鑑定ですが,科学鑑定が民事事件でも活躍している!という貴重なお話しも聞くことができました。
相続問題が発生し親族関係を確定しなければならない,親子関係を明らかにしたい…
このような場合,生存している親族との間で鑑定を行い,関係を明らかにするのだろうという感覚を持っていたのですが,
見学会では,さらに「物件鑑定」という手法が紹介され,鑑定についての意識が変わりました。

「物件」とは,親族関係を明らかにしたいがすでに亡くなっている人の遺品等をさします。
本人が亡くなっていて,生存している親族との間の鑑定では,直接の親族関係が明らかにできない場合,
(例えば,「父」との親子関係を確定させたい「息子」がいる場合,生存している親戚が「叔母(=父の妹ないし姉)」であると,
その本人が男性の場合,叔母(女性)との関係は,血液の鑑定では,父との親子関係を100%確定することはできないそうです。XY染色体の関係によるものです。)

そのような場合、既になくなった父の、例えば,歯ブラシや入れ歯,へその緒,病院などが保存している血液型検査の検体などを対象として鑑定をするという方法があり,
これによって確定できるとのことなのです。

(遺品の櫛に残っていた髪の毛からDAN型鑑定をして,隠し子が母親の違う兄弟に反撃する…
みたいなミステリー小説を読んだことがあった気がするのですが,これか!!と思いました。)

この知識を持っていると,このような相談に来られた依頼者の方から聞き取らなければならない事実も,おのずと明らかになります。

この他にも「筆跡鑑定」の最新事情を聞くこともできました。科学的な分析機械を駆使すると,こんなに精度の高い鑑定ができるのかと驚きでした。

半日の見学会でしたが,弁護士として最新技術についての知識をしっかりと持つことの重要性を噛みしめて帰ってきました。

センターの職員の方々は,ほとんどがドクター(博士号)をお持ちの各分野の専門家とのことでした。
女性比率がとても高いのにも驚きました。
また,薬学博士で,その後法科大学院を卒業し,司法試験にも合格した後,ここで仕事をしている方もおられました。この鑑定センターは、訴訟にも深く関係してくる仕事です。この方の知識や経験は,組織の中でもきっと生かされることと思います。

見学会を主催してくださった先生,押田先生をはじめとするセンターの皆様に,心から御礼申し上げます。


投稿者:圭



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