震災法律相談−南相馬仮設住宅にて−

先週13日土曜日,福島県南相馬市の友伸グラウンド仮設住宅にて,
福島県弁護士会相馬支部主催の「原発事故損害賠償請求準備のための無料説明会」が開催されました。

私も,東京弁護士会からの派遣チーム,4人の中の1人に加えていただき,現地に赴きました。
東京駅に午前7時に集合し,東北新幹線で福島へ。お盆休みの帰省ラッシュで,駅は早朝とは思えない混雑でした。
福島から南相馬までは,レンタカーで1時間半程度の道のりでした。
南相馬に入ると,満開のヒマワリ畑が目にとまりました。
チェルノブイリ原子力発電所の事故以降,ヒマワリには土壌の除染効果があるというデータが出ているとのこと。
ちょうど翌日曜日の朝日新聞デジタルに,「南相馬の田んぼでヒマワリ満開 土壌汚染などの効果期待」との記事が掲載されていました。
除染の効果を狙って植えられていることを思うと,鮮やかなヒマワリの花の色が胸に刺さるような思いでしたが,
作物を育てることができないまま,荒涼とした畑が広がる光景に比べると,満開のヒマワリは多少なりとも南相馬市の皆さんの心の慰めになるのかもしれません。

相談会の会場には,仮設住宅の敷地内にある集会所を用意していただきました。
開始時刻の午後1時半より,30分近く早く会場についたのですが,すでに数名会場に入っておられました。
定刻には,会場が満員に。40名近い方々が来てくださいました。
今回の説明会は,損害賠償請求について,原発の損害賠償請求について最新の政府指針が出たあとの開催だったため,
実際に損害賠償を求める際の手続きや,どのようなものが損害として請求できるのかなどを中心的なテ−マとしました。

まず,原子力発電所の事故によって発生した損害について,その賠償を請求する仕組みをできるだけわかりやすく理解していただけるよう,
チームリーダーから紙芝居形式での説明を行いました。

その後,全体での質疑応答。次々と質問の手が上がりました。
「20キロ圏内に自宅があるが,立ち入ることができないのでどんどん痛んでいく。これは損害なのか。」
「仮払金をもらっているが,その上損害賠償請求をして,もし損害が仮払金を下回ったら返せと言われるのか。」
「いつどこに損害賠償の申請をすればいいのか。一向に具体的な手続きが始まらない。」
「原発の被害はこれからも続いていく。今回の請求で終わりにしなければならないのか。」
といった切実な質問が相次ぎました。
答えられる範囲のご質問と,弁護士ではいかんともし難く政府の決定・東電の対応を待たざるを得ないご質問もあり,
現時点で弁護士ができることの限界を感じる場面もありました。

さらに希望される方向けに,個別相談もお受けしました。
平置きの長机をはさみ,4名の弁護士と向かい合う形で近い距離での相談です。
私も,2名の方のご相談を受け,できる限りのご回答をしてきました。
やはり,どのような損害が請求対象になるのかという点が,なかなかご自身では判断が難しく悩まれる方が多いようです。
このような相談会,弁護士会の相談窓口,電話相談サービスなど震災向けに設けられているサービスを積極的に利用してもらえるよう,
まずその存在を知ってもわなければならないと,強く思いました。

今回の相談会では,弁護士会作成の「東日本大震災・記録ノート」をお配りしました。
このノートには,冒頭に,震災に関する相談窓口など役立つ関係機関の連絡先一覧が掲載されています。
さらに,原発事故による損害賠償請求にそなえ,損害を詳細に記録するための欄,日々の記録の欄が設けられています。
思いつくことを書き留めておくことで,実際に請求の手続を行う際の貴重な参考資料となります。
個別の相談では,ノートのどの部分にどのようなことを書けばよいか今ひとつよくわからないというお声もありました。
これは損害なのかわからない・・・と思うものは,ぜひノートのどこにでもよいので記録して,実際に請求する際,弁護士などの専門家にご相談ください。

2時間の相談会で,参加者の皆さまに少しでも有益な情報をお伝えできただろうかと,帰り道の車で話しました。


相談会の前後に多少時間があったので,南相馬の海岸を歩きました。
3月11日から毎日のように,ニュース・新聞で目にした海岸でしたが,
現実の光景は,画面を通して見る映像とは全く異なる圧倒的な説得力をもって迫ってきました。
土台だけを残した家々に花を手向ける方々の姿も見えました。
海は穏やかに凪いでいましたが,この海が数千の人々の命を飲み込んだ海かと思うと,ただその場に立ちつくすことしかできませんでした。

私は震災後,5か月経った今,初めて現地に足を運びました。
これまでなかなか機会を持てなかった中,5日に開催された弁護士会の震災相談研修の際,成蹊大学刑事模擬裁判チームでご一緒している先輩弁護士から,
「13日南相馬行かない?」とのお誘いをきっかけに今回の相談会チームに加えていただきました。
被災地に赴き,私が改めて痛感したことは,この震災そして原発事故からの復興には想像を絶する時間がかかり,
その時間をサポートしてくためには多くの人の力が必要だということです。
自分のペースで,少しずつでもできることをしていこう,そう思いました。

お誘い下さった先生,チームの先生方,そして相談会に足を運んでくださった仮設住宅のみなさん,本当にありがとうございました。



(南相馬の海岸にて)


投稿者:圭






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