ソチオリンピックを終えて−フィギュアスケートを見て思ったこと−

ソチからの日本選手団帰国のニュースに触れ,あぁ,オリンピックが終わったんだなと思った。
今日は朝から東京地裁で期日が入っていたので,ちょうど選手団が乗った飛行機が成田に到着したところまで見て自宅を出,昼休みに,帰国後の選手記者会見のニュースなど,にぎわう報道をネットで眺めた。

私は,フィギュアスケートが好きで,一昨年から縁あって競技やショーにも足を運んでいたため(フレンズオンアイスNHK杯全日本選手権など),ソチオリンピックもがぜんフィギュア中心の観戦になった。もちろん,モーグルやスノーボード,ラージヒルなど,他の競技も観戦してそれぞれに盛り上がったけれど,全部書いているときりがないので,フィギュアに絞って記録しておきたいと思う(それでもだいぶ長くなってしまうと思うけれど)。

今回のオリンピックは,時差が厳しく,軒並み深夜0時から3時頃に競技が集中するという状態だった。
翌日の仕事に響かせるわけにもいかないので,寝不足にならないように,できるだけ日付が変わる前に寝て,競技佳境の深夜に起床し観戦,その後録画で前半を観戦,そのまま早く仕事スタートというスケジュールで観戦した。
意外と効率がよく,日中も眠くならずに,ほぼリアルタイムに近い時間で,団体から男子SP・FP,女子SP・FP,エキシビジョンとしっかり観戦することができた。

男子は,羽生選手の圧巻のSPから金メダル。これは嬉しかった。羽生選手のスケートは,一昨年のNHK杯,昨年の日本選手権とLIVEで見ており,テレビでもたびたびコメントする姿を目にしていたけれど,ソチに入ってから,急に貫禄が出てきたように感じていた。
相変わらず,華奢だし小顔だし,いかにも10代という外見ではあるのだけど,目つきが力強くなった。
金メダルをとった時には,金メダリストに相応しいオーラすら感じさせた。
「立場が人を作る」という言葉があるけれど,まさに,一段一段階段を登り,オリンピック金メダリストという壇上に到達した人の顔になっていた。
普通なら,階段の最上段でもあり得る位置ではあるが,羽生選手にはまだまだ通過点。自身が被災した1人であるため,金メダリストになったからこそできる支援がある,ここがスタートだというコメントをしていた。
頼もしい19歳だと思った。

高橋選手は,やはり直前の怪我もあり,本調子ではなかったが,その時点でのベストのスケートを見せてくれたと思う。
日本選手権では,不本意な滑りに涙を隠せていなかったが,ソチでは違った。
競技後のインタビューは,思うようにいかなかった準備期間の悔しさも隠さず,でも今の自分にできることはやったという清々しさも感じさせる,高橋選手等身大のコメントだったと思う。
解説の本田武史さんが,ソチの練習期間中,高橋選手が感情を爆発させる場面もあり,見ている方も辛かったというコメントをしていたが,このオリンピックというピンポイントに,心身ともにベストの状態をもってくることが,どれほど大変なことなのかを感じさせるものだった。
SP・FPとも,高橋選手のスケートは,いつもどおり音楽そのもので,指先の一振りまで美しかった。

2位に終わった,パトリック・チャン選手の笑顔もよかった。
バンクーバー以降,絶対王者と言われ続け,金メダルの大本命だった。年齢的にも今回で最後のオリンピックの可能性が高く,ないのは五輪の金メダルのみ。本人も欲しかったに違いないと思う。
結果は,伸び盛りの羽生選手に追い越されての銀。しかし,表彰台では晴れやかな笑顔で羽生選手をたたえた。
最後のエキシビジョンでは,金メダリストを従え,選手代表として英仏二カ国語での感謝の言葉を述べており,フィギュア界のリーダーとしての役割を果たした。
地味だけれど,優れた技術を備えた名スケーターだと思う。
しかも,きっと人となりも素晴らしいんだろうなと思わせる,王者の振る舞いだった。

女子は一層,書ききれない。
浅田選手は,団体での転倒から不穏な空気が漂い始め,SPではここまで崩れるのかと衝撃のスコアだった。
FPのトリプルを8回入れるという宣言を聞いて,立て直すのは難しいだろうに,どうしてそこまで自分にプレッシャーをかけるのかと,悲しい気持ちにすらなっていた。
FP,あり得ない滑走順での演技。冒頭のトリプルアクセルが決まってから,食い入るように画面を見つめた。
素晴らしかった。本当は,そもそも重厚なラフマニノフの曲調は浅田選手に合っていない,もっと軽やかで可憐な曲に併せて浅田選手らしいプログラムを滑ればいいのにと思っていたほどだった。
しかし,悲壮感漂う痛恨のショートから,決死・覚悟のフリーに,この重い曲がぴったりと重なった。
終了後,万感の思いからか,浅田選手の目から涙が流れていた。その後の笑顔を一層輝かせる涙だったと思う。
これ以降,当分,このプログラムが流れるたびに涙腺が緩む日々が続いたことは言うまでもない。

浅田選手と言えば,私が司法試験を受ける直前の世界選手権だったと思う,FP最初のトリプルアクセルを転倒,もう優勝はないかと思ったところで,その後凄まじい精度のパーフェクトな演技をし,優勝を決めたことがあった。
私は,どうしてあそこから立て直せるのか,どれだけの精神力なのかと感嘆したものだ。
私の頃の司法試験は,初日マークシート式の短答試験,翌日から論文試験というスケジュールだったのだが,私はもともとこの短答式が大の苦手で,初日は全くできた気がせず,足切り(点数が低いと論文を採点してもらえない)されたのではないか,もう翌日から受けるのは無駄なのではないかという気持ちにすらなっていた。
その時,ふと,この世界選手権での浅田選手の滑りを思い出したことを,よく覚えている。
今回のFPはそんなレベルのプレッシャーではなかっただろうと思う。
それでも浅田選手は,あの世界選手権以上に,見事に立て直してみせた。強い人だと,改めて思った。
浅田選手は,これまで世界選手権,グランプリファイナルと数々のタイトルを取ってきた。
今回,メダルがとれなかったことは,これまでの彼女の戦績を何ら損なうものではないし,むしろ1つの圧倒的な感動を後世に遺したと思う。

鈴木選手は,演技後,静かに,でも笑顔で長久保コーチと健闘をたたえ合う姿に,感動した。
長い期間,また報道によると厳しい体調から立ち直って,滑り続けてきた選手だ。
一昨年のシーズンのFPが非常に印象的だったが,今回の白いコスチュームでのファントムオペラもよかった。
引退を表明しているが,このオリンピックはこれからの人生に生きると思うというコメントを聞き,今後豊かな人生を過ごして欲しいと心から思った。

ソチのフィギュア全体を通して,競技の間に垣間見える選手同士の関係が,とても爽やかに胸に響くシーンが多々あった。
浅田選手を見守る高橋選手,大きな声援を送る羽生選手,日本から応援しながら相変わらずの泣きっぷりの織田選手。
エキシビジョンでは,照れながらカップルでダンスをする浅田選手と高橋選手が微笑ましかった。
鈴木選手のツイッターで投稿された選手達の晴れやかなプライベートショットもあり,他国の選手の投稿では,国を超えてわきあいあいとした様子の選手達の写真が見られた。
エキシビジョンやショーがついてくる競技だからこそ,友人関係を築ける機会も多いのだろうか。

選手達の演技を見るにつけ,このプログラムを演じきるまでに,どれだけの凄絶な努力の積み重ねがあるのだろうと思う。
自分も頑張ろうと思った,というと薄っぺらい感じがするけれど,妥協せず誠実な毎日を重ねていきたいという想いを一層強くしたことは間違いない。
ソチオリンピック・フィギュア,素敵な大会だった。

投稿者:圭


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